感情のシェア

カメラを止めるな!」は元から見たかったのだけど、最近の、猫も杓子も「観に行った方がいい」と言い出した状況に、少しげんなりしている。

猫も杓子も「観に行った方がいい」と言い出した結果、上映館の大幅な拡大につながったので、そのことを否定するつもりはないんだけど、もうわかったから、観に行った方がいいと勧めたくなるのはわかったから、ほぼ日のひととかまで「いい」って言ってるのもわかったから、もう「いい」って言うのいいんじゃないか? という気持ちになってきた。

映画館で観たいので結果的になんと言われようと観に行くと思うのだけど、なんかこう、こういうムーブメントになっていくの、今までそこからどれだけのものが一過性の消費をなされ、スポイルされていったかを考えると、この盛り上がりも同じ轍を踏んでいくんじゃないのかというナーバスな気持ちになってしまう。

好きなものを好きというのも、嫌いなものを嫌いというのも自由だと思う。けどいいかげん、そういうので盛り上がりを作って、猫も杓子も観に行ってみようぜみたいなことになって、それがまたシェアされて、結局「インターネットでみんながいいと言っているものをみんなが観て/聴いて/体験して」「同じことを感じてしまってる」ことになってる状況、多様性とかなんとか言いながらやっぱりみんな同じものに触れてたいんじゃんねっていう感じがしてつらいと思ってしまう人間もいるんですよね、ここに。だからといってまあなんということもないんだけど。

上田慎一郎監督は「彼女の告白ランキング」という短編を観たときに一発でファンになってしまったので、この快進撃はすごく喜ばしいことだと思うし、ご自身が身を粉にしながらのプロモーションをやっておられるのも知っているので、本当によかったですねと思っています。

内田けんじ監督と上田慎一郎監督には、「頭どうなってるの?」という映画をずっとずっと創り続けてほしいです。