かっこいいドリル

「ドリルを買いに来たひとが欲しいのは、ドリルではなくて穴だ」という言葉がある。顧客は本当は問題を解決したいだけであって、その手段はなんだっていい、みたいな意味なんだけど、実際、仕事においてはドリルが欲しくてドリル買いに来たみたいな案件が結構ある。特にデザイン仕事で実感する。

とにかく「こういうチラシを作ってほしい」みたいなことばかり言われて、それ、ターゲットのこと考えたらこのデザインじゃないんじゃないかなあ……と思っても話が通じない。やりとりを重ねるうちに、あ、これお客さん呼びたいんじゃなくて、チラシが納品されたら満足するやつだ、と気付く。こういう案件は、途中から心を殺してクライアントが満足するものを作ることになる。

この仕組みに自覚的になったのは、つい最近のことだ。たぶん、自分でも無自覚にこういうことをやってるんだろうと思う。最近お気に入りの書店で、体系立てて整理された本棚を眺めながら考えた。なにかが欲しくて本を読みたいと思ってたはずなのに、気がつけばその場しのぎの本を買って、結局読まずに何か月も積んだままになっている。そもそも、なにが欲しいのかすらわかっていない。ただ本を読めばなにかが変わりそうな気がする。ていうか読まなくても買えばそれだけで事態が少し好転するんじゃないか、とか思ったりする。事態? 事態とは?

そういった形での本との出会いを否定するわけではないけど、なんだかそれって本をファストフード的に扱ってる感じがして、なんだかな、そうじゃないんだよなとも思う。

相変わらずなにが欲しいのかわかってなくて、それをわかるための本を読みたい。常に迷っているのが、「とりあえず嘘じゃない態度」のような気がする。

日本一楽しい漢字ドリル うんこかん字ドリル 小学1年生

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