みんなわらってくらしてる

UNDERTALE」をクリアした。名作と言われているのは知っていて、3年くらい前にSteamで買ったのだけど、PCのキーボードでプレイするのがうっとうしくて放置していた。先日Switch1,000円弱になっていたので、改めて買った。

「記憶を消してまたやりたい」という感想をよく目にするので、どれほどのものかと期待していたのだけど、はたして期待以上だった。画面の雰囲気からか「MOTHER」と並べて讃えられているのもよく見るけど、個人的にはMOTHER以上だと思う。やさしいゲームだった。

内容は、おおまかに言えば地底(underground)での物語(tale)で、地底に迷い込んでしまったニンゲンの子どもが、モンスターだらけの地底世界をくぐりぬけ、地上に戻るというストーリー。5時間程度でクリアできた。

序盤、明らかに選択を間違えてしまった出来事があったのだけれども、どうすればよかったのかわからず、最後までずっと、心に小さなトゲが刺さったような感覚があった。ゲームなんだからリセットしようと思えばできたのだけど、どうしようもなさを抱えたまま最後まで進めてよかったと思う。後悔したままクリアするゲームもめずらしいような気がする。

ストーリー全体はもちろんのこと、何気ない台詞のひとつひとつがふいに涙腺を刺激してくる。最初に訪れる町で、なんてことのないキャラクター(名前すらない)がこんな会話をしている。不覚にもこの台詞で涙腺が急激に緩んでしまった。

*みんな わらったり ギャグを
 いったりして めのまえの
 もんだいから めをそらしてる

 たんちょうな まいにち
 じんこうみつどの じょうしょう
 ひあたりの わるさ

 わたしも そうやって イヤなこと
 わすれられたら いいんだけど
 おわらいのセンスがなくて。

*ちていのせかいには いろいろと
 もんだいも あるけど それでも
 みんな わらって くらしてる。

 なんでって?

 どうせ なにもできないんだから
 もんくいっても しかたないだろ?

先の見えない毎日だけど、目の前の問題から目をそらすな、正しく怒れ、批判をやめるな、もうそういうのからも目をそらしたい。わらったりギャグをいったりして、イヤなことわすれられたらいいんだけど。わらって暮らそうとするユーモアはなくしたくないなあ……。